歯の神様、現代っ子の言い分に憤慨。

わし、歯の神様。牛川に祀られとるぞん。

昔はいまみたいに、よい歯ブラシや歯磨き粉がまだまだなかったでのん。みなにとって虫歯は”生き死ににかかわる重大な病”だったんじゃ。

年寄りはもちろん、子どもたちや働き盛りの若い衆も毎日のようにお参りやお供えに来てくれとって、

「歯がはやく良くなりますように」

というみなの声を聞き届けて治してやっておったわい。

 

それが、いまや。。。

昨日、豊橋妖怪ハンコ展を切り盛りしておる人間の娘ごが、急にわしのところへきて、

「歯の神様、さっき、おがた歯科さんに行って、虫歯を治してきてもらったよ。全然痛くなかったし、もう完治!」

と言ったんじゃ。

「なぬ!なぜ、わしに言わぬ!治してやったのに」

と問うと、

「この虫歯、最新の薬と技術を使って歯を削らずに治療してくれたんだよ!シールドとか、神様できる?」

と返してきおった。

わしが「むむぅ…」と言葉に詰まっておると、

「この前、相談した時は、”ちゃんと毎日歯磨きをせんからじゃ”とか説教されただけで終わっちゃったじゃん!」

じゃと。わし、後でひとりで泣いてしまったよ。ごひんのおじいが慰めてくれおったわい。

 

みな、毎日歯磨きは欠かさずにのん。